インタビュー記事は難しい?うまくいく取材&記事作成のコツ

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ライター たましろ
ライター たましろ
2022.03.16

取材対象者あってのインタビュー記事は、通常のライティングとは違った事前準備や記事のスタイル、書き方などが必要なだけでなく、取材相手へのマナーも重要な要素。
ライティングを始めたばかりの人は、「ちょっとハードルが高いなぁ」と感じてしまうかもしれません。

そこで本記事ではインタビュー記事大好きライター・たましろが、インタビュー1年生ライターさんへ向けて、取材のコツや記事作成のポイントをご紹介!

\何が知りたい?/
【取材準備】どんな準備をしておけばいい?
【取材当日】インタビューで大切なことは?
【ライティング】会話を記事にまとめるポイントは?

ちょっと意識するだけで、取材も記事作成もグッとスムーズになる秘訣をまとめています。

取材相手はもちろん読者にも喜んでもらえるよう、まずはインタビューならではの基礎テクニックを身につけていきましょう。

取材準備|良いインタビュー記事のカギは入念な下準備にあり!

どんな記事作成でもそうですが、事前の情報収集は絶対に手を抜けないところ。
特にインタビューは、取材対象者がいて成り立つものです。
ノープランで出向いていって、「さぁ話して下さい」ではとっても失礼!

\インタビュー取材の前には…/
相手のことを徹底的にリサーチ!
おおまかな質問は用意しておく!

取材相手のことがわかれば、「どんな質問をすればいいか?」「どんなストーリーの記事にしようか?」といったイメージを持ちやすくなり、取材でもライティングでも困ることはありません。

取材相手のプロフを徹底的に調べる

取材の対象が個人であれ店舗であれ、まずは相手についてとことん調べておくこと!

  • ・公開されているプロフィールのチェックは必須
  • ・ブログやSNS、過去のインタビューなどに目を通しておく
  • ・相手が興味を持っている(持ちそうな)ことも調べておく

相手がモデルやミュージシャンなら、ショーやライブを事前にチェック!
関連のイベントや音源なども調べておいて、できる限りたくさんのネタを仕込んでおきましょう。

「あまり関係ないかな?」というトピックでも、取材中には意外と役に立つもの。
もし会話につまりそうになっても、「そういえば…」と切り出せる話題があれば、おもしろい展開に発展して思わぬ収穫を得られることが結構あります。

☝取材相手のファンになろう!
人は誰でも、自分に興味を持ってもらえればうれしく&心を開きやすくなるもの。
取材に臨む際は、その瞬間だけでも相手の熱狂的なオタクになりましょう!そうすればインタビューの成功率がUP!

記事の掲載先は?読者層が気になりそうな質問を想像

インタビュー記事は、さまざまな媒体で使えるコンテンツ。
インタビュー記事をどう仕上げるかは、雑誌やWEBサイト、ホームページなど、掲載先の特色によって大きく左右されます。

ですから、掲載先にどんなニーズがあるのかを知っておくことも重要な準備のひとつ。

読み手は男性?女性?何歳くらい?
掲載する媒体はビジネス色が強い?エンタメ性が重視される?

など、読者層を細かくイメージした上で、どんなネタがあると喜ばれるかなと想像を巡らせてみます

読者になったつもりで思いを巡らせれば、「これが知りたい!」という内容が見えてくるはず。 読者が知りたいこと・気になることに対するアンサーは、「おもしろい!」「読んでよかった!」と感じてもらえるインタビュー記事に欠かせない要素です。

☝取材相手のファンは何を知りたい?
記事掲載先の特色に合わせた記事は、読者層の「知りたい!」を満たすことができます。
「ファンは何を知りたいかな?どんな話題があれば喜ぶかな?」という読者の目線から生まれた質問は、記事の出来をさらに良くします。

質問内容を決め、会話の流れを作っておく

取材相手と記事を読む人のイメージが掴めたら、どんなアプローチの記事が喜ばれるか、そのためにはどんな質問をすればいいか、大まかなイメージを持っておきましょう。

  • ・CDや写真集などのリリースが目前であれば、作品への想いや制作の裏話
  • ・人物紹介であれば、「過去」「今」「これから」とターニングポイントとなる出来事 

…など

もちろんインタビューの後で、「このネタで書こう!」とイメージを膨らませるケースもあります。
どちらにせよ質問する内容はいくつか用意しておくのが基本準備であり、最低限のマナー

だからといって、「あれもこれも!」とたくさんの質問をすればその分話題は広がりますが、記事にすると薄っぺらい内容になってしまうリスクがあります。

読者の心に残るような深みあるインタビュー記事に仕上げるためには、質問の数は少なくても「これ!」というコアな内容を押さえておくことが大切です。

☝会話をイメージして、質問忘れ・漏れを防ぐ!
会話の流れ次第で質問を考えるというのは、臨機応変なように見えてとてもリスキーです。
「取材相手が話したいことはなんだろう?」という思いやりのもと、そのインタビューの核となりそうな質問を1~2個は用意しておきましょう。

取材当日|初めてでも大丈夫!インタビュー取材の心得

取材で大切なのは、取材相手のファンになった気持ちで臨むこと!
「あなたのことを知りたい!」という気持ちで臨めば、相手の話に対して貪欲に耳を傾けるようになるし、思いもよらない会話もありがたく聞けるものです。

\取材当日には…/
とにかく聞き上手になる!
想定外の話題は怖くない!
“デキるライター”を見た目で演出!

取材=相手の話を聞くのが仕事ですが、相手が話しやすいような質問を投げかける・会話を広げるためにちょっと違う話題を提供する、といったアプローチも時には必要です。

主人公は取材相手!聞き上手なインタビュアーに徹する

インタビューは、軽めの話題を振って場を温めることから始めましょう。
着ているお洋服のことでも天気のことでもOK。軽めに会話のキャッチボールができたら、その後は相手にしっかりと話してもらいます。

取材が進むなかで、「記事のネタを聞き出さないと!」という気持ちから、どんどん質問しちゃうことがあるかもしれません。
しかし、ライターがペラペラ喋っていては取材は成立しません。ライターはとにかく聞き手に徹しましょう

  • ・いきなり本題を切り出さない!まずは軽い話題から
  • ・具体的な意見を求める時は、「私はこう考えますが、○○さんはどう思いますか?」

取材相手がみんなお喋り上手なタイプとは限りません。インタビューに慣れていない人だと緊張してしまって、なかなか会話が進まない可能性も…。
そんな時は軽めの話題を振って、心の準備をしてもらいましょう。
取材相手が答えやすいよう、簡潔でわかりやすい問いかけを心掛けてくださいね。

☝取材中は流れに身を任せよう!
狙い通りにインタビューが進むことなんて滅多にないし、理想の回答が得られないこともしばしば。
だからといって、取材相手を無理やり誘導するのはNG!相手にとても失礼ですし、かえってインタビューが失敗することも。
インタビュー中は事前準備にこだわりすぎず、相手が気持ちよく話せる流れを意識しましょう。

想定外の話題はチャンスと捉える

インタビューって、どれだけ十分に準備をしていても想定通りには進まないものです。
だからこそ、会話の流れでフッと見えてくる興味深いエピソードがあれば、積極的に掘り下げることが大切!
「これだ!」と感じたら、臨機応変に質問を投げかけてみましょう。
もちろん、5W2Hの確認も忘れずに!

・想定外の話題でも「これは使える!」と思ったら、どんどん突っ込む

また、レコーダーを持参して取材する場合でも、録音しているからと安心していてはダメ。
インタビュー中の雰囲気までは、レコーダーの中に残りません。
相手のテンションや表情、身ぶりなど、その場でしか感じられない空気をしっかりと感じておきましょう

☝情報収集が真価を発揮する時!
取材前にはマニアックなまでに相手のことを調べますが、情報が多くなると「これは不要」「今回は関係ないかな」と情報を切り捨てることがあるかもしれません。
ここが落とし穴!切り捨てた情報が、実は取材相手にとってのツボだということも。
下調べに、先入観や自己判断は不要。とことん情報集めに徹しましょう。

デキるライターと思わせるには見た目も大事

ライターはカジュアルな職種と考えられがちですが、インタビューでは取材相手や場所に合わせて身だしなみを整えるのが基本です。
ただ、いつでもジャケットが必要というわけではなく、トレンドを意識したファッションの方が好印象な場合もあります。

外見は、TPO+αの気遣いが大切!

常識的で清潔感のある身だしなみはもちろんですが、相手によって装いを合わせるのも大切。
例えば、取材相手がアパレルショップのスタッフなら、そのお店で扱っているアイテムを身につけて行けば、「この人、わかってるな~!」と感じてもらえるはず。
インタビュー中に、話を広げるきっかけにも使えますよ。

また取材中は、笑顔を忘れずに!
「あなたのお話が聞けてうれしい」「話してくれてありがとう」という気持ちを、挨拶だけでなく表情からもしっかりと伝えましょう。

☝外見で仕事ができるライターを演出しておく!
ライターとしての仕事の良し悪しは記事に表れます。しかしインタビューを成功させるためには、記事を書く前から「できる人だな」と思わせるのが得策。
「このライターなら、信頼して記事を任せられそう」という印象を、見た目や振る舞いで演出してみましょう。

ライティング|取材相手を魅力的に伝える!インタビュー記事作成3つの心得

インタビュー取材が終わったら、いざライティング!
会話から得た情報を読み物としてまとめるのって割と大変な作業です。
取りかかる前には毎回、「これは大変そうだな…、どうやってまとめようかな~」と感じてしまいますが、「何について書くのか?」を決めておけば迷いなく書き進められます。

\記事作成3つのポイント/
最初に一番伝えたいこと=要点を決める!
ただ書き起こして終わりにしない!
取材相手の人柄が伝わるかチェック!

この3つは、インタビュー記事の作成にあたっては基本中の基本。
それでいて、精度を高めていけば「うまい!」と言われる記事が書けるようになる大切なポイントでもあるんです。

1.記事の要点=読者が知りたいことを見極める

数百文字から10,000文字以上まで、記事のボリュームはさまざまですが、文字数に関わらずまず最初にすべきなのが記事の要点を決めること。

記事の要点=読者に一番伝えたい取材相手の魅力

インタビューが充実してたくさんの情報を得られると、記事の中にあれもこれも盛り込みたくなるものです。
ですがトピックが多い記事は、全体を読み終えたときに「結局何が言いたかったんだろう?」と、ボンヤリした印象になってしまいがち。
反対に、要点がハッキリした記事は内容に深みが生まれやすくなるし、読者も「○○って~~~なんだ!」と理解しやすくなります。

また同時に、その要点は読者が知りたいことでなければいけません

読者に一番伝えたい取材相手の魅力=読者が一番知りたいこと

書き手の気持ちだけでは、記事は成り立ちません。
読者が「読んでよかった」という情報が書かれていなければ、自己満足の文章で終わってしまいます。
読者の視点で要点を絞ることが、読者が満足する記事作成の大切な一歩目なんです。

☝要点を表す単語をいくつか準備してみよう!
例えば、”魅力あふれる人”について書くとします。では、その魅力って何だろう?
キュート、優しい、努力家、スタイル抜群、肌がキレイ…など、どんな魅力を芯に捉えるかで記事の印象や方向性は変わってきます。
まずは記事の要点となる単語を書き出して、それに沿って言葉を選んでいくと内容にズレや余計な広がりが生じにくくなります。

2.インタビュー記事=録音の書き起こしではない!

インタビュー記事は、取材相手が語った言葉を読みやすい流れや言葉遣いに置き換えて作成します。
話してもらった内容を一言一句そのままテキストにすることは、まずありません

話の中から必要な部分を見極め、取り出し、文脈が自然に流れるように話の前後を入れ替え、言葉のリズムを整えます。
また記事としてわかりづらい部分があれば、事実を確認したうえで不足している言葉を補う場合もあります。

  • ・話し言葉と読みやすい書き言葉は違う
  • ・必要な説明や言葉はつけ足してOK

またインタビュー記事は、1.Q&A形式、2.一人称形式、3.三人称形式という3つの種類(スタイル)に分けられます。

どのスタイルで書くかは、記事に求められる雰囲気や掲載する媒体のテイストによって変わってきます。
ただ、どんな手法でまとめるにしても、話し言葉をそのまま書き起こさない・読みやすく整えるという作業は必ず行ないます。

☝取材相手の雰囲気や持ち味は残す!
読みやすく整えるといっても、ライターが手を入れ過ぎて別モノにしてしまってはダメ!
決して、話し言葉が悪いわけではありません。読者がわかる範囲での方言やその人ならではの口グセなどは、うまく取り入れてみましょう。
あくまでも、取材相手の特徴や魅力を伝えるための記事であることを忘れないように!

1.Q&A/会話形式

会話の流れをそのまま使いやすいので、インタビュー記事に慣れていなくてもトライしやすいタイプです。

たとえば、このインタビューがそうです。

【Q&A/会話形式の例】
小橋川:プログラマーとしての経験年数としてはどれくらいになりますか?
新里:約6・7年くらいになります。
小橋川:新里さん知識も豊富で、10年くらいはしてるのかなって感じがしますね。
新里:基本的には全く違う仕事をしてきたので、30代入ってからです。

2.一人称形式|取材相手が書いたようにまとめる

取材相手が書いたように見せるタイプの記事。
会話の流れを読みやすく整える必要があり、Q&A形式よりは少しだけ難易度が上がります。

こちらのスタッフ紹介では、この手法を取り入れています。

【取材相手が話しているようにまとめた例】
僕の仕事は、管理職としてスタッフへの作業振り分けや外部会社との折衝、現状の調査などがメイン。ですが時には、自身で企画を考えたりワイヤーフレームを作ったりすることもあります。
チームとして日々さまざまな事をこなしていますが、それはもちろん一緒に働くスタッフがいるからこそ成り立つこと。僕ひとりだけで、プロジェクトの遂行は叶いません。
一つひとつの作業は個人プレーかもしれませんが、仕事はみんなで成し遂げるものです。

3.三人称形式|取材相手の言葉を盛り込み、第三者目線でまとめる

語られた言葉だけでなく、その人の雰囲気やその場の状況なども盛り込んでまとめる方法。
より細かな描写が求められるので、難易度は1.2よりも高めです。

こちらはレポートタイプで軽めにまとめたものです。

【第三者目線でまとめた例】
10月にお誕生日を迎えたえりにゃん。この日は30歳になって初の配信ということで、ファンから届いたプレゼントの“開封式”を開催してくれました!
大好きなリラックマグッズにパジャマ、コスメなど、たくさんの贈り物に「わ~!ありがとう!」とえりにゃんは大感激!
コメント欄にもお祝いメッセージが飛び交う中、「30代って年齢を言いにくくなる年代かなって思っていたんだけど、みなさんにお祝いして頂けるからうれしくって。30歳になりましたって堂々と言えるよ!」と、素直な心境を話してくれました。

3.文字に取材相手の人柄をにじませる

取材相手が持つオリジナルな魅力を伝えるのがライターの役目です。
記事を書き進める際には、言葉や行間の使い方で取材相手の雰囲気や人柄をにじませることを意識してみましょう。
「にじませるってどうやって?」と感じるかもしれませんが、その人がよく使う言い回しや方言を取り入れてみるのが簡単&確実な方法。

  • ・相手が頻繁に使う口グセや方言を使う
  • ・相手の年齢にふさわしい言葉(例:はやり言葉、教科書のような日本語、古い言い回し)を使う
  • ・雰囲気に合わせた形容詞やオノマトペ(擬音・擬態語)を使う

話し言葉を書き言葉に置き換えるのがインタビュー記事作成の基本ですが、話した人の雰囲気を伝えられる場合には、はやり言葉や話し言葉を取り入れてもOK
部分的に使えば、読みやすさを損なわずに雰囲気の伝わりやすい文章ができます。

また、同じ言葉でも年代によって、ひらがな・カタカナ・漢字と書き換えるのもオススメ。本来の意味を損なうことなく、ニュアンスを変えることができます。

時には取材相手の魅力を伝えるために、多少”盛った”表現にすることもあります。
でもそれは、読者を惹きつけるためのテクニック。
絶対に事実と異なる内容やウソであってはいけません。

☝要点以外の部分だって大切!
インタビュー記事のキモは要点ですが、その周辺を彩る『その取材相手にしか当てはまらない表現』も大切です。その人らしさ表すのに必要なのは、語彙力よりも言葉選びのカン。
ごく普通の言葉でも、記事の雰囲気にピッタリな場所で使ったり、ほかの言葉との組み合わせにこだわってみたり。それだけでその記事ならではの空気感が生まれ、その人らしさを演出できますよ。

インタビューの出来&読者目線が記事の完成度を決める!

事前準備もライティングも、愛情を持って接すればうまくいく!

良いインタビュー記事は、相手に寄り添った取材から。
相手に寄り添った取材は、「どんな人なんだろう?何が好きなんだろう?」という興味から。
記事の対象に好奇心や愛情を持つことが(その場限りでも!)、良い記事を書く秘訣!

記事の良し悪しは、取材当日に懸かっていると言っても過言ではありません。
取材で転んでしまったら、どんなテクニックを総動員してもそれなりの記事にしかならないと、覚悟してください。

なぜなら、上っ面だけの情報をつないだ文章は薄く、誰の心にも残らないからです。

とにかく調べる

  ↓

インタビューがうまくいく

  ↓

心に残る記事が書ける

また「良い記事を書きたい」からといって、過剰にカッコつけるのは違います。
たくさんの人に共感してもらうためには、誰が読んでもわかる言葉で伝えること。
伝える力がある記事には、読者の立場になった言葉遣いが必要なんです

多くの記事を書いてきてライターとしての自信をつけている人こそ、ありきたりな言葉を駆使して魅力的なフレーズを生み出しているもの。
「これは良い!」と言われるインタビュー記事を書くためにも、入念な準備・ファン目線で欲しい情報を取りに行く・シンプルな言葉でバシッと伝えるといったハートと技術を身につけたいですね。

M&TTでは、「わくわく」を実現する仲間を募集しています!
皆様のご応募お待ちしております!